解体工事の基本を勉強しよう!どんな時に解体工事が必要なのか!
解体工事という工事は、なんとなく「家を壊すのだな」というイメージは付きますが、実際のところ家を解体する工事というのは、どのようなタイミングで決定して実際に工事を行うものなのでしょうか。こればかりは、経験したことのない方にとっては未知の領域であると言わざるを得ません。家を解体しなくてはならない状態になってから解体するのか、それともその前に何らかの判断基準で解体することを決めたほうがいいものなのか。この記事では、解体をする対象となっている建物を持っているオーナーさんに向け、解体工事のタイミングについて解説をしていきます。
なぜ建物を解体する?そのままではいけない?
近年では、日本国内でも「空き家」が目立つという報道を見かけることがあります。建物というのは色々な目的で建てられるものですが、その中でもこと住宅というのは人が住むために建てられるものです。つまりそこに住んでいる人がいなくなってしまったら、その建物は役割を終えたということになります。とはいえ、住んでいる人がいなくなったから、ではすぐに解体工事をするかというと、なかなかそのように決断をするオーナーさんは少ないでしょう。わざわざ解体をするというのは、解体工事の費用がかかることもあり、解体をわざわざせずに、そのままの状態にしている、というケースも見られます。しかしながら、誰も住んでいない建物をそのまま放置するということは様々なリスクを負うことになります。普段、生活をしている上ではほとんど意識することはありませんが、実は家というのは非常にデリケートなものです。頑丈な構造物である家屋も、定期的に人の手が入ってメンテナンスが行き届いているからこそ、何十年も快適に生活することができているのです。つまり、定期的なメンテナンス・手入れが入っていない建物は朽ちるに任せられているということであり、あらゆる劣化の現象が放置されているということになります。「誰も住んでいないのだし、朽ちるに任せていいんじゃないのか?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうでもありません。空き家で人がこないという状況が長期化することで、そこは「誰も来ない場所」として認知されるようになり、犯罪の温床になってしまったり、悪意のある人間が放火をしたりする危険性もあります。また、倒壊の危険があったりすると、周囲の家や通行人にも被害が及ぶことが考えられます。誰も住んでいない建物で、今後もメンテナンスを適切に行うことができないのであれば、解体工事をすることが必要になってくるのです。そのため、人が住まなくなった、住んでいた人が亡くなったというような場合で、その建物や土地を他者に売却したり譲渡したりしない場合には、建物の解体工事を解体業者に依頼することとなるのです。では、解体工事を決意するタイミングというのはどのタイミングでしょうか。
解体工事はいつ行う?工期、見積もり、なぜ今解体するのか?
建物を解体する決意をするというのは、まず大前提としてその建物が不要になったということを意味しています。誰も住まず、何か他の用途に(たとえば倉庫など)にするわけでもなく、なおかつ建物の適切なメンテナンスができないということになれば、その建物は解体して土地を更地にする必要があります。では、建物が不要になるタイミングといえば、「そこに住んでいた人が別の場所へ居所を移した」や、「住んでいた人が亡くなってしまって、遺族は特に引き取るつもりはない」というようなケースが代表的な事例であると考えられます。とはいえ、たとえば引っ越しのケースであれ、亡くなってしまったケースであれ、建物の解体が「予定されていた」という状況の方は非常に少ないでしょう。亡くなってしまうことや引っ越ししてしまうことは事前にわかっていたとしても、建物のことまでは深く検討していなかったというケースがほとんどです。そこで突然解体工事が必要になるという状況におかれるわけですが、解体工事に限らず工事というものは、今日依頼して今日始まる、ということはほとんどありません。多くの場合の工事は、まず現状確認、見積もり、各種許可申請などを行い、現場の養生や足場組など入念な下準備を行って契約処理などの事務手続きを行い、そうしてようやく工事が可能となるのです。つまり、唐突に「解体工事が必要になった」というオーナーさんは、「いつ解体工事をするか」という視点よりも、「いつであれば解体工事ができるか」という視点で解体工事業者を探す必要があるということです。解体工事業者にも日程の都合があります。多くの解体工事業者は、1ヶ月先程度まではすでに工事の予定を入れているところが多く、また人員が不足しているような会社では2ヶ月、3ヶ月先まで予定が埋まっているというケースも少なくありません。では、3ヶ月前であれば予約ができるかというと、それも断言はできないというのが実情です。この場合問題となるのは、日程という問題が解決されたとしても、実際に工事が発生する3ヶ月の間に、建物の状況が変化する、特に、劣化具合が進行したり、柱や屋根などに破損が増えたり、状態が変わってしまう可能性があるという点です。このような状態になると、当初発行していた見積もり通りの金額での工事進行が難しくなるという問題があります。そのため、一般的に解体工事業者は工事予定が3ヶ月後ということになると、あくまで「参考」の見積もりという形でしか見積もりを提示できないという状態になるでしょう。依頼の時期は早ければ早いほどよいというものでもないのです。オーナーさんとしては、解体工事が発生「するかもしれない」という状態で一度参考見積もりを取得しておき、その上で実際に解体工事が発生した際には、その時点で再度解体工事業者に相談する、という2段構えでの依頼が必要になる場合が多くなります。このようなスケジュール感について知っておくことは、オーナーさんにとって重要なこととなるでしょう。
何ヶ月もかかるというときに重要なのが税金の扱い
解体しようとしている建物がもし「住宅」であるのなら、解体工事を行う時期についてはよく検討するのがよいでしょう。それはなぜかというと、税金に関わってくるからです。建物や土地の税金は、「固定資産税」という税目になるのですが、この固定資産税というのは1月1日の土地・建物の状態を基準として税額の決定がなされます。さて、ここで問題になるのは、その土地・建物の状態なのです。固定資産税には、「住宅用地」は税率を軽減するという制度があります。(減税措置といいます。)これは、通常の税額に比べて200㎡までは6分の1、それ以上の土地の場合は3分の1という具合で税率が軽減されます(平成30年度時点)。しかしながら、それは住宅が経っている住宅用地であって、土地にあった住宅がなくなり更地の状態になると、この減税措置の対象から外れます。つまり、固定資産税が高くなるわけです。工事の発生が年内に終わって、解体工事自体も年内に完結したとすると、翌1月1日時点ではその土地は「住宅が建っていない更地」の状態となるわけですから、当然減税措置の対象とはなりません。逆に言えば、解体工事が1月1日以降に行われたとすれば、その年度中は減税措置の対象となるということを意味しています。もちろん、「固定資産税を節約するために土地には建物を残せ」という趣旨ではありませんし、使っていない建物は安全のためにも速やかに解体工事をすることが求められています。解体工事を発注する時期をいつにするか、工事の発生をいつにするかということの判断をするうえで、こうした情報についても把握したうえで工事を依頼することがオーナーさんにとって無用の損失を避けることにつながるわけです。なお、当然のことですが一度更地にした土地であっても、そこに再度住宅を建てればそこは住宅用地となります。新築する場合には、「新築住宅の建物」の固定資産の特例対象となります。広さや地上階数によって年数が変更となりますが、固定資産税が2分の1となります。このような税金の仕組みについても、国税庁のホームページなどで確認しておくことが望ましいでしょう。
まとめ
建物の解体工事は、いつ、どのように進めたらよいのかなかなかイメージが掴みづらいと感じているオーナーさんも少なくないことでしょう。この記事では、解体工事を発注するタイミングや、建物を解体するタイミングによっての様々な影響について解説しました。解体が必要な建物を持っているオーナーさんは、ぜひ参考としてみてくださいね。