解体工事のトラブルに巻き込まれないように確認しておくべき事3選!

解体工事ハウツー&用語集

 解体工事をご検討中の方は「今、初めて解体工事のことを調べている」という方が多いと思います。「もしトラブルに巻き込まれたら……」と不安な気持ちを抱えている方もいらっしゃるでしょう。解体工事は決して少なくない出費を伴いますし、近隣の方にも無関係のことではありません。さまざまなトラブルの種をはらんでいると言えます。しかし、トラブルの多くは事前に対策を知り、備えておけば防ぐことができます。スムーズに解体工事を進めるために、次の3つのことは最低限確認しておきましょう。

1.トラブル回避の第一歩!解体工事を知る

 解体工事は一生のうちに何度も経験するものではありません。街中で解体工事を見かけることはあっても、自分が依頼主となると話は別。「何から手をつけていいのか想像もつかない」という方も多いのではないでしょうか。
 これから解体を依頼する方は、まず解体工事について知りましょう。解体作業そのものはプロの業者に依頼することになりますが、依頼主であるあなた自身も「解体工事とは何か」「どんな流れで進むのか」を知っておくことが大切です。解体工事の流れを把握することで、依頼主として備えておくべきことがわかりやすくなります。
 解体工事について知っておくことは、2番目に説明する「解体業者選び」でも大切なポイントになります。残念なことに、依頼主の知識が少ないことを利用しようとする悪徳業者も存在します。もし、信頼できる解体業者に出会えたとしても、依頼主として「業者に言われるがまま」の姿勢をとり続けるのは危険です。解体が終わってから「希望していた工事と違った」なんてことになりかねません。最低限の知識を持っておくことがトラブル回避の第一歩です。
 ここで解体工事の大まかな流れをご紹介します。

解体工事前

 まず解体業者を選びます。解体したい日の約3ヶ月前には業者選びを始めましょう。工事期間が決まったら、着工前に必ずご近所への挨拶まわりをしてください。挨拶は工事内容や工期の説明を兼ねて、解体業者と一緒に行うのが一般的です。
 不用品の処分方法も早めに考えておきましょう。普段のごみ回収に出せるものはご自身で処分するのがお得です。粗大ごみは各自治体に連絡して回収してもらえますが、テレビ・エアコン・洗濯機・冷蔵庫は「家電リサイクル法」に則って処分しなければなりません。
 解体工事を行う前に済ませておくべき手続きがあります。延べ床面積が80㎡以上の建物の解体工事を行えるのは、「建設リサイクル法」に基づいた届出をしている業者だけ。大型クレーンの出入りや私有地からはみ出して行う作業がある場合は「道路使用許可」が必要です。この2つはいずれも申請から許可が下りるまでに一週間程度かかります。解体業者にお願いする場合も、申請漏れがないか確認しましょう。電気やガスなどライフラインの停止手続きもお忘れなく。

解体工事後

 解体工事が終了したら、契約通りに工事が行われたかを確認します。撤去してほしかった庭石が残っている、逆に残してもらうはずだった樹木がない、などといった食い違いはないかチェックしましょう。
 建物を取り壊したら、1ヶ月以内に「建物滅失登記」を行う必要があります。これは法務局の登記簿に建物がなくなったことを登記する手続きです。滅失登記を行わないと、土地を売却できない、固定資産税が課税され続ける、罰金をとられる、といったトラブルにつながります。
 近隣への挨拶まわりは解体工事が終わった後にも行いましょう。「ご協力ありがとうございました」とお礼の気持ちを伝えるとともに、何か迷惑をかけたことがなかったか確認してください。

2.解体業者選びのポイント

 解体業者を選ぶ時は、いきなり1社に絞ろうとせず、見積もりをとって何社か比較してみましょう。電話で土地や建物の大きさだけを聞いて見積もりを出そうとする業者もいますが、現物を見ないことには適切な工事内容はわかりません。必ず現地調査を依頼して、できれば立ち会いのもとで見積もりを出してもらいましょう。
 現地調査の立ち会いは、解体工事のトラブルを回避するために非常に重要です。ただ現地調査を見守るのではなく、細かい要望や疑問点を伝え、工事を任せるのに適した業者かどうかチェックしてください。契約前に解体業者としっかりコミュニケーションをとり、要望を伝えておくことは、トラブルを最小限に抑えることにつながります。
 現地調査で対応に不誠実さが見えた場合は、たとえ金額が手ごろな業者でも候補から外すべきです。不誠実な業者を選んでしまうと、何かと理由をつけて追加料金を請求してくるなどのトラブルが起こりやすくなります。解体工事中は地中障害物の撤去など、不測かつ、やむを得ない追加作業が発生することもあります。こういった場合も、解体業者は依頼主に確認し、見積もりを出してから進めなければなりません。丁寧な説明のない解体業者は、事後承諾で追加料金を請求してくる可能性が高いので要注意です。
 解体業者の対応が悪いと、近隣とのトラブルにもつながります。「作業員の態度が悪い」「粉塵対策が不十分」などのクレームがあった時、迅速に対応してくれる解体業者でなければ問題が大きくなる一方です。契約前に解体業者の対応を見て、しっかり見極めましょう。
 万が一、解体業者との間にトラブルが発生したら、まずは消費者センターに問い合わせてください。相手が悪徳業者である場合は特に、依頼主とのトラブルに慣れているはずです。一対一では言い負かされてしまうかもしれません。一人で解決しようとせず、専門的な知識を持つ第三者に相談しましょう。

3.近隣への配慮は大丈夫?

 子どもの頃、積み木で小さな家を作ったことはありませんか?積み木の家を崩す時ですらガチャガチャと音が鳴ります。本物の家やビルを建て壊す時には、その何倍も大きな音がする、と想像がつくでしょう。解体工事には大型車両の出入りを伴いますし、工程によっては粉塵が舞ったり、振動が起こったりすることも避けられません。解体工事は「近隣の方にも無関係ではない」と説明した理由がお分かりいただけたでしょうか。
 解体工事の着工前に必ずご近所の方々への挨拶まわりをしましょう。きちんとした解体業者であれば、近隣への挨拶と工事内容の説明をするのが当然ですが、依頼主であるあなたも極力同行してください。もし解体業者との都合が合わない場合は、後から業者も挨拶に来る旨を伝えておきます。
 挨拶に行ったら「工事中は何かとご迷惑をおかけしますが、ご理解、ご協力をお願いいたします」と伝えるのはもちろん、工事の期間や作業時間も忘れずに伝えてください。
 ご自身の立場に置き換えて考えてみましょう。ある日突然、近くで大きな音がしたり、地震でもないのに揺れを感じたりしたらどうでしょうか。少なからず不安な気持ちになると思います。それがいつまで続くかわからなければ、不安は次第に怒りへと変わるかもしれません。しかし、事前に「いつからいつまで解体工事があります」と聞いていたら、「ああ作業中なんだな」と納得することができるはすです。
 工事後の挨拶まわりも忘れてはいけません。何か迷惑をかけたことがなかったか確認し、早めにトラブルの種を拾っておきましょう。

まとめ トラブルなく解体工事を進めるために

 解体工事は「ただ建物を取り壊すだけ」と思われがちですが、実はさまざまなことに気を配る必要があるということがお分かりいただけたでしょうか。トラブルの種をもっとも育てやすいのは「知らないこと」だと思います。解体工事をすると決めたら、まずは解体工事を知ることから始めてください。トラブルに巻き込まれず、スムーズに解体工事を進められるように準備していきましょう。