東京で行う解体工事の気になる助成金について
建物の建築費用が高額であるということは、皆さんご存知であると思います。それだけに、おおよその建築費用の相場を把握している方も多いことでしょう。その一方で、多くの方々が建物の解体に関する知識を有していません。解体費用の相場はさることながら、解体工事における法律や諸手続きなど、”解体工事について分からないことばかり”という方はとても多いのです。
東京で行う解体工事
一般的に、東京で行う解体工事は、他の地方都市に比べて割高になる傾向があるといわれています。とりわけ、建物が密集している都心部はその傾向が顕著です。その理由としては、以下の2点が挙げられます。
①都心部のような建物が密集している地域では、大きな重機や運搬用トラックが進入できない場合があります。こうしたときには、人員を増やして作業効率を維持しなくてはなりません。
人員を増やすわけですから、当然人件費がかさんでしまいます。東京都は日本で最も賃金の高い地域ですから、尚のことです。
②もうひとつは、防音や粉じんなどに対処するための仮設設備費用がかさんでしまうということです。都心部などの建物が密集した地域では、非常に狭い間隔で建物同士が隣り合っています。そのため、周囲への別段の配慮が必要となります。その結果として、仮設設備費用が割高になります。
以上のように、解体工事が割高になるのが東京都です。そこで今回は、東京での解体工事をお考えの方のために、東京都の「解体工事の助成金」についてお話しいたします。
東京都の解体工事助成金
解体工事の助成金は、各自治体により条件や補助金の額が異なります。ここでは、都心部 (23区) の自治体における各種助成金をご紹介したいと思います。
大田区
『木密地域不燃化10年プロジェクト 不燃化特区制度』
<対象建物>
昭和56年 5月31日以前に建築された建物
<対象者>
個人または中小企業者が施主であること
<補助金限度額>
解体工事費 「最大100万円」
老朽木造建築物を除却する場合 「費用の一部を助成 (要確認) 」
特定整備路線老朽建築物除却助成 「最大1,200万円」
<助成期間>
令和3年 3月31日まで
<必要条件>
住民税を滞納していないこと
耐震診断で判定基準1.0であること
台東区
『密集住宅市街地整備促進事業』
<対象建物>
昭和56年 5月31日以前に建築の木造建築物
耐用年数の2/3を過ぎた建築物
木造 : 15年以上
木造モルタル : 13年以上
鉄骨造 : 23年以上
鉄筋コンクリート造 : 32年以上
<対象者>
個人または中小企業者
<補助金限度額>
解体工事費 「上限150万円」
<助成期間>
令和3年 3月31日まで
<必要条件>
建て替えをしない場合、取り壊し後の更地の適正管理
延焼を防止する上で危険と認められること
杉並区
『木密地域不燃化10年プロジェクト 不燃化特区制度』
<対象建物>
昭和56年 5月31日以前に建築され、尚且つ区の調査で危険と認められた建築物
<対象者>
対象建築物の所有者
<補助金限度額>
解体工事費 「最大150万円」
<助成期間>
令和3年 3月31日まで
<必要条件>
住民税を滞納していないこと (法人にあっては法人住民税)
建て替えをしない場合、取り壊し後の更地の適正管理
渋谷区
『特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化助成事業』
<対象建物>
昭和56年 5月31日以前に建築された建物
<対象者>
対象建築物の所有者
<補助金限度額>
「解体工事費 : 最大210万円」もしくは「区が定める単価 (上限費用 : 21,000円/㎡×延面積) 」。いずれかの金額の低い方
<助成期間>
令和3年 3月31日まで
<必要条件>
住民税を滞納していないこと
敷地が特定緊急輸送道路に接すること
令和3年 3月31日までに取り壊されること
荒川区
『木密地域不燃化10年プロジェクト 不燃化特区制度』
<対象建物>
昭和56年 5月31日以前に建築された建物
耐用年数の2/3を過ぎた建築物
木造 : 15年以上
木造モルタル : 13年以上
鉄骨造 : 23年以上
鉄筋コンクリート造 : 32年以上
<対象者>
対象建築物の所有者
<補助金限度額>
解体工事費 「上限費用 : 22,000円/㎡・上限面積 : 10,000㎡まで」
<助成期間>
令和3年 3月31日まで
<必要条件>
住民税を滞納していないこと
不動産販売・不動産貸付業を営んでいないこと
危険老朽建築物除却検討委員会で危険と判断されること
防災上危険であること
助成金でお得に解体工事を!
以上、都心部 (23区) における解体工事の助成金をご紹介しました。今回は23区内一部の自治体のみをご紹介しましたが、23区以外 (東京都下) の各自治体にも各種助成金があります。
こうした助成金の内容 (補助金額や条件等) は変更になることがありますので、最新の情報は各自治体にお問い合わせください。
今回のテーマである「解体工事の助成金」。上記に挙げた各種助成金をご覧いただいてお分かりいただけるとおり、条件を満たせば100万円単位で解体工事費用を補助してもらえることも可能です。
知らないと損をする解体工事の助成金、お得に解体工事を行うためにもぜひとも忘れないようにしておきましょう。