解体工事の問題点
解体工事の問題点
今回は日本における解体工事の問題点について紹介します。
海外の解体工事の現場では経費削減や効率の良さを考慮して日本では現在行われていないような爆破解体をするような業者も存在しているようです。爆破解体では環境破壊や重大な人的被害が発生するリスクがあります。また、防塵シートや防音シートなども疎かになっていることが多いです。
解体工事で何よりも大切なことは安全と安心です。
世界的には法整備が整っていると言われる日本でも毎年、工事現場において重大な事故が起きています。その多くは解体中の建物の崩壊や重機による事故です。
事故が起きる原因として様々なことが考えられますが、その1つとして近年の解体業界における価格競争が生み出した問題点と言えます。この価格競争により本来は一番重要視されるべき安全性が軽視されている状況があります。
他にも問題点としてアスベストの発生があります。アスベストとは天然に採取される鉱物の一種です。アスベストを吸入すると数十年経ってから肺がん、悪性中皮腫などの病気に関連した症状が表れる場合があります。日本では一時期、断熱材や防音材として建築物に多く使用されていた時期がありました。解体工事の際にアスベストが飛散し作業員、近隣の住民への健康を害することになってしまいます。現在の日本ではアスベストの利用に制限が掛けられていますが、その監視の目がすべてに行き届いていないのが現状です。海外に目を向けると工事業者に一任するだけでなくその工事業者を監視する特別な仕組みを構築している国もあります。
解体工事を行う際に最も多く挙げられる問題点として騒音があります。騒音レベルが高い場合には法律に触れることもあり、実際に裁判で賠償請求の対象になった事例もありました。
解体工事は公共工事の場合は8時から17時までが一般的な作業時間とされています。
また、工事を施行する場所が住宅地か工業地域なのかなどにより作業を行える時間は多少変わります。現在の日本の法律では、6日間連続での工事が限界になっています。また、85デシベル以下の騒音でなければいけないと定められています。音を全く出さずに工事を行うことは出来ません。だからこそ近隣の方の理解を得ることが必要不可欠です。
特に住宅が集まる地域などでは近隣の方の生活に影響を及ぼしてしまいます。
施主側と解体業者が近隣の住民に対して細心の注意を払い、話し合いをする必要があるでしょう。
日本の解体現場の問題点として近年では不法投棄が挙げられます。解体工事などで出てしまった産業物を廃棄する際には特別な許可が必要になります。その許可をとらずに不法に廃棄物を処理する業者があります。そうした廃棄物の不法投棄は、景観の悪化や害虫の発生、土壌や地下に有害物質を汚染する可能性がある為、人々の生活に大きな悪影響を与えてしまいます。
では、罰則があるにも関わらず、なぜ不法投棄を行う業者が後を絶たないのかを考える必要があるでしょう。
個人個人のモラルの問題が大きな原因として考えられます。諸外国に比べると道は綺麗に舗装されており、街にはごみがほとんど落ちていないと評価されることもある日本ですが、実際に歩いているとごみは落ちています。大人は勿論、子どもたちや若い世代の人たちに対し、ごみのポイ捨てが自分たちの生活にどんな影響を与えるのかを伝えていく必要があるでしょう。
ごみの処理時に掛かるコストの高さもあるでしょう。捨てるものにお金が掛かるという感覚がまだあまり浸透していないように思えます。ごみを捨てる人はごみを出すのにもお金が掛かることを理解すること、そしてごみをなるべく出さないような考え方を持てる人を増やせば産業廃棄物の不法投棄は減っていくのではないでしょうか。