自然災害後の解体工事費について

2018年9月30日解体業者向けコンテンツ

自然災害後の解体工事費について

 

空き家問題が大きく取り上げられている昨今では、解体工事というと「古くてもう誰も住む予定もない家屋」ですとか、「新築を建てるために解体したい家屋」というものが多くイメージされるのではないかと思います。しかし、解体工事が必要とされるケースは他にもあります。

 

例えば、自然災害などによってもう住むことができないくらいにダメージを受けてしまった家屋を解体する場合です。自然災害となると非常に大規模であるため、地域一帯で解体工事が必要となることも少なくありません。

 

しかし、自然災害によって解体工事が必要となった場合、通常時と同じような手順で解体業者に依頼をすれば良いのでしょうか。それとも、災害時はまた、別の書類や方法があるのでしょうか。自然災害はいつどこで発生するかわからないものですから、このような知識を少しでも知っておくことは、これから先、非常に重要になってくると思います。特に近年は台風の威力は増し、地震の頻度と規模も増えています。何もなく過ごせることがもちろん一番ですが、万が一のときに行動できるように、心の準備も大切なのです。

 

さて、具体的な例を見てみましょう。近年でも非常に大きな規模の災害となった、平成28年度熊本地震のときはどうだったのでしょうか。家屋の倒壊や全壊の被害にあった南小国町では、町の負担で解体工事が行われました。これは住民の生活環境を保全することを目的として、家屋の倒壊などによる被害を防ぐために行われました。

 

そのため、対象となる家屋には条件が設けられていました。それは罹災証明書で半壊以上、全壊、大規模半壊、半壊の判定を受けている家屋であること、そしてそれと一体になっている家屋のすべてを解体することに所有者が同意していること、という条件です。そしてその上、町によって、生活環境の保全のために解体や撤去が必要であると認められることが必要になってきます。

 

解体工事の目的

 

これは解体工事の目的が「住民の生活環境を保全する」というところに置かれているためです。ですから、基本的には地上よりも上の部分が解体工事の対象とされています。「倒壊して住民に被害が起きる」ことを防ぐための対策ですから、頷ける内容です。そのため、地中深くに打ち込まれた基礎杭や配管、工事後の整地などは町の工事外とされていて、後日自分で業者に依頼するなど、何かしらの手配をする必要があることにも、注意しなければなりません。

 

さて、これらの解体工事に関して、気になるのはやはり工事費ですよね。被災して心身ともに疲れ切っているときに、解体工事費まで降りかかってきたら、たまったものではありません。しかし、ご安心ください。この南小国町のケースでは、平成28年熊本地震で被災した半壊以上の家屋に対する解体および撤去は、町が行うために原則として個人の負担はないとされました。泣きっ面に蜂とならずに済む制度があるのは、ありがたいですね。

 

また、中にはそのような制度があることを知らずに、個人で業者に依頼をして解体工事を行ってしまったという方もいらっしゃることでしょう。そのような場合、すでに払ってしまった解体工事費はどうなるのでしょうか。この南小国町の場合ですが、町が特に解体撤去が必要であると判断した場合には、補助の対象とされました。そのために、「半壊以上と判定された罹災証明書」「解体工事前、工事中、工事後の様子が確認できる写真」「解体工事に係る見積書、契約書、請求書」などが必要となります。

 

これらのように、自然災害によって解体工事が必要となった場合、自治体がそれを行ってくれるケースがあります。万が一台風や地震によって住まいが半壊や全壊してしまった場合、頭が真っ白になってしまうことでしょう。そうならないことが一番なのですが、もしものときのために、このような制度が適応されるかもしれないということを、頭の片隅で覚えておくと役に立つかもしれません。